第9話 相続税はどのように計算するの?

相続税の課税の考え方は、大別して「遺産課税方式」と「遺産取得課税方式」の2つがあります。

遺産課税方式とは、亡くなった方の遺産に焦点を当て、遺産の総額に対して課税する方式です。これは、イギリスやアメリカなどで採用されている方式で、日本でも民主党が支持している方式となります。

遺産取得課税方式とは、個々の相続人等が相続する遺産に焦点を当て、相続人等が取得した遺産の額に応じて相続税が決まり、各相続人が納付する方式です。これはドイツやフランスなどで採用されている方式で、日本では自民党が支持しています。

では、日本は?

日本の課税方式はどちらでもなく、これらを混合した「法定相続分課税方式」という方式を採用しています。

これは、相続税の総額を、遺産総額・法定相続人の数・法定相続分を基にして計算(遺産課税方式の考え方)し、その相続税の総額を、各相続人等に実際の遺産取得割合に応じて按分(遺産取得課税方式の考え方)する方式です。遺産分割のいかんに関係なく遺産総額によって相続税の総額が決まるという遺産課税方式の長所と、各相続人等の税負担の公平が図られる遺産取得課税方式の長所を併せ持つ、やや複雑ですが優れた課税方式です。

日本の相続税法は明治38年の創設以来、遺産課税方式が採用されていました。これは旧民法の家督相続の考え方に適していたからです。しかし、民法が改正され家督相続がなくなると、昭和25年に遺産取得課税方式に改正され、さらに昭和33年には法定相続分課税方式という日本独自の課税方式を導入し現在に至っています。このように時代の変化に合わせて改正されてきた相続税ですが、現在では大増税時代を迎えようとしており、税制改正から目が離せません。

このような相続税ですが、実はオーストラリア、カナダ、イタリア、シンガポール等の国々で廃止が相次いでいます。多額の相続税が事業承継の妨げになることや、家庭への国家の介入は最低限にすべきなどの考えからです。また海外から資産家を呼び込みたい思惑もあります。

資産家にとって日本が魅力のない国にならないか心配です。