第5話 遺言がある場合の相続分

被相続人は、それぞれの相続人の相続分を遺言によってあらかじめ指定することができます。これを指定相続分といいます。たとえば、相続人が甲・乙・丙と3人いたとすると、「甲の相続分は2分の1とする」と相続分の一部を決めることもできますし、「甲の相続分は2分の1、乙の相続分は4分の1、丙の相続分は4分の1」と全部を決めることも出来ます。

遺言により相続分が指定されたときは、被相続人の意思を反映するものとして、法定相続分に優先的して従わなければなりません。この場合には、具体的に財産を分割する必要があるため、財産をもらう人は相続人とともに遺産分割協議に参加することになります。

さらに被相続人は、遺言において「誰に何を相続させる」というように、特定の人に特定の財産をあげることもできます。たとえば、「甲に東京都○○市○○町一丁目23番4号の土地を相続させる」と具体的に指定することができます。

このように、被相続人は遺言において自分の財産を誰にあげたいかを自由に指定することができます。ただし「遺留分」に注意しなければなりません。もし被相続人が「全財産をお世話になった(相続人でない)Aさんにあげる」と遺言したら、相続人である甲・乙・丙は財産を全くもらうことができません。これでは、相続人の今後の生活が心配です。遺留分とは、相続人が必ず相続することができる「最低限の相続分」なのです。遺留分は、配偶者、子、父母・祖父母に認められています。その割合は父母・祖父母のみが相続人であるときは法定相続分の3分の1、その他の場合には法定相続分の2分の1と決められています。たとえ、被相続人が遺言によって相続分を指定しても、遺留分に満たない財産を相続した相続人に不満があれば、その相続人はその遺留分に満たない部分の財産をもらう権利があります。それをもらうためには、遺留分を侵害されたことを知った日から1年以内に、遺留分を侵害した相続人に対して請求を行う必要があります。ただし、兄弟姉妹には遺留分がありませんのでご注意ください。